「屍者の帝国」読み終わりました。
著者名は伊藤計劃×円城塔となっています。
伊藤氏は、この本の準備を始めたところでガンで他界してしまいました。
残された原稿用紙30枚ほどの試し書きとA4用紙1枚ほどの企画用プロットと集め始めた資料を基に、円城氏がこの小説を書いたということです。
こういう形で小説が書かれるのはとても珍しいことではないでしょうか?
私は、円城氏の作品は読んだことがないのですが、伊藤氏の作品は「METAL GEAR SOLID GUNS OF THE PATRIOTS 」「虐殺器官」「ハーモニー」と読んできたので、これにも手を伸ばしたわけです。
アニメ化された時に、表紙がアニメのものになってしまって購入をためらっていたのですが、偶然にも以前の表紙の本を見付けることが出来、購入して読み始めました。

とにかく読むのに時間がかかりました。
伊藤氏の小説は多少時間がかかるのですが、今回はそれ以上。
私の読んだ伊藤氏の3作とアイデア的に通じるものがあると思うのですが、読んだ感触はかなり違いました。
人間関係とか、物語の展開とか、つかみにくかったです。
アニメ化されたものを見たら、わかるのかしら?
ただ、アニメ化された絵を見て、その絵柄が小説から受ける印象とあまりに違うんで見る気になれなかったり。
文章そのものも、伊藤氏の硬質で鋭い感じの文章ではなく、綺麗で柔らかい感じ。
物語も伊藤氏の方が論理的な書き方をするような。
そして、アクションシーンのスピード感も違いました。
伊藤氏のかかれるアクションシーンには、風圧みたいなものというか空気の流れを感じるんですが、今回の小説はスピードのあるシーンをスローモーションで見ているような感じがしました。
演出方法が違う映像を見ているような…。

そういったことを忘れて、ひとつの作品として読むと、人間の思考とは、言葉とは、生死とは、魂とは…などなど、色々なことを考えてしまい、不気味さと美しさがごった煮状態で、不思議な気分になる小説でした。
オカルト的なSFだけれど、哲学的なものも内包しているエンターティメント小説ってことになるのでしょうか。
ひとことで言うのが難しいです。

ただ、もし、伊藤氏がこの作品をその手で完成させていたらどんな作品になっていただろうかと思わずにはいられませんでした。
スポンサーサイト